罔兩庵日乗 mouryouan’s diary

私的思索散話妄言覚書

スケープゴートの神「天使・天神」から御霊信仰へ ,, 20191113

スケープゴートの神「天使・天神」から御霊信仰へ ,,
20191113
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(下賀茂神社摂社の由木社)

○靫ユキかけられる神、天使

うつぼ、やなぐい、ゆき(靫)
これ等は全て矢を入れる道具だ。
形によって呼び方が違うらしい。

で、「靫かけられる神」と云うのが徒然草にある。

色々総合して推察フエンするとこう云う話だ。

中国から輸入した天子・皇帝の思想では、下界に不都合なことがあった場合それは天帝の代理人たる皇帝(天皇)の不徳の故である。
……よって、不徳の皇帝を取り替える(弑する)ことは、天命が革カわったので許される。これが革命である。

然程の問題でなければ、皇帝が謹慎し改めればよい。
が、それも嫌ならば、皇帝の代わりに神様を謹慎させればよい。
横着な話だ。

その、身代わりのスケープゴート専門の神がいて、謹慎中の目印?として靫ユキをかけられたそうである。

一つ目小僧みたいな話だな。

それが、五条天神の役割だったそうだ。
スケープゴート専門の神様。……あんまりじゃない?
が、兼好が書いているから本当だろう。

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(五条天神)

何故か、当の五条天神には書いてない。不思議だ。
この五条天神がなかなか見つからなかった。
近くに道真の生家が菅大臣社として存在するが、全く無関係のようだ。??

が、町名に「天使つきぬけ」とあったので検討つけて見つけた。
本来の名を「天使のやしろ」と言ったらしい。
祭神はスクナヒコナの命他。

天使??……天子さまの身代わりだから??
天帝にあやまりに行く使いだからか??
庚申待のサンシノ虫の元祖か親玉みたいなものか。。

古い名前は、天使だったのだろう。

鞍馬の前にある、ユキ神社もどのような役割分担か知らないが同じスケープゴート神であるらしい。
たぶん、天使もユキの神も同じ神の通称だろう。

今回歩いて調べた中では、下賀茂神社の摂社(末社)に 由木社 があった、祭神はやはりスクナヒコナ命。

蛇足。

賀茂神社は、今回調べてわかったが、糺の森も木島神社(秦一族)から移したらしいし、カモ一族の初期天皇家とは別系統イズモ(平安京の元の住人、要調査)のヒラ(比良、柊)神社を摂社にしたり、古い様々な神をまとめて祀る役割のようだ。

……イズモ、スサノオ蘇民将来、スギコシ祭り、柊、クリスマス……気になる。……そのうち繋がるか???

上カモは行かなかったので、次回調査したい。

鞍馬のユキ神社は行ったのだが祭神はわすれた。たぶん同じではないか?

更に余談だが、
まぁ、出雲系の風変わりな神なら適任だ。
スクナヒコナは多分メソポタミヤのアヌンナキと同じ、文明をもたらした宇宙人の記憶だろう。

話しを戻す。。。

○天神。天使は天子か?

小生は、長く誤解していたらしい。

天神は雷を司る神で、例の宮中に落雷して讒言したものが死んだ事件と、都の乱れとを、道真の御霊信仰に結びつけた為、
(雷=天神)=(道真の祟り) で、道真が天神になったし、同時に雷の神が御霊信仰の祟り神になった。
と、思っていた。

が、どうも、道真の祟りより前から、天神は「祟って然シカるべき神」だったらしい。
故に、道真と結びつけられたのではないか?
祟り神天神 と 祟り神道真 はもともと別個の神が結びつけられてより強力な祟り神になったらしい。

傍証として、小栗判官
彼も母が天神に参って身籠った子。
都の乱れの原因が小栗が深泥池の大蛇とセックスしたせいだと(無茶苦茶だな)、陰陽師に言いがかりをつけられて受難が始まる。
天神、スケープゴートのセオリー通りだ。  

……そう云えば、北野天満宮の裏の摂社に、道真の祟りだと言い出した巫女が神として祀られていたな。
この人の出自がわかれば、もう一つ合点が行くのかもしれない。……

さて、話が逸れてばかり。
ざっくり推理の結論を云うと、
「天神とは、天使で、ユキかけられた神で、天皇(や貴族たちの)スケープゴート神のこと」ではないかと思う。 

御霊信仰より前に、このスケープゴート神の信仰があった。と、しておこう、勝手に。

あっ、そう云えば、天狗ももともと空駆ける犬で雷のことだったのだが、いつのまにか鼻長赤ら顔の外人面になった。で、水戸天狗党とか歴史の変革期に現れ暴れるんだよな。
天狗。天神。天、、、なんか関係あるのかな??
もとい。もとい。。

○怨霊は御霊へ

御存知、御霊信仰とは、自分達(或は自分達の先祖や前任者)が罪無く陥れ、殺した相手、祟られて然るべき被害者たちの怨霊をば「神に祭り上げてやる」ことによって、守護神たる御霊に変えてしまうと云う、何とも御都合主義なズル賢い卑劣な思想だ。
 
スケープゴート神もヒドイが、罪無く殺した相手に守ってもらおうとは虫がよすぎる。

天子さまの罪を天使になすりつけ、怨霊を御霊に変えて見方にするとはホトホト貴族どもとは卑怯な腐った根性の持ち主らしい。

スケープゴート神自体は、道真の場合は統合されたが、だんだん御霊信仰にとってかわられお役御免になりまとめてユキ神社に封じ込められたのではないか?

何せ、極悪非道の皇族貴族には祟られる覚えがいくらでもあるから、御霊候補には困らないから、天神の出る幕はない。

ゴマスリ坊主と、たいこもち神官にもことかかない怨霊で固めた腐った都……いや、防腐処理された清潔な死体置場、京都。

桜の下にはされこうべ、紅葉の下には怨霊。
素敵なディスカバージャパン🎵

浦のとまやの秋の夕暮れ の方がよほどましかもしれない。

雀よワシは寂しいぞ……。。🍶

閑話休題。。。

○問題提起

さて、言いたいことを言ったが、所詮天に吐く唾は自分に戻ってくる。

この、御霊信仰的な罪の意識の責任回避は何れ深層心理に沈めた怨霊に復讐される。

やんごとなき方々とちがって直接他人を陥れたり殺す機会はわれわれ庶民には無いが、御霊信仰と言霊信仰はパラレルで、こちらはわれわれをも強く呪縛している。

そして、同じく日本人独自の甘えの構造、自我の拡散、集団埋没の無責任、論理より空気の支配……等々

桓武の伝統は戦後の今も続いている。

高校野球Jリーグも、特攻隊関東軍隣組と同じ心理構造に思えてならない。

要するに、醒めた小生にはこの国の隣人たちは少々薄気味悪く、居心地が悪い。

祟られるのが嫌なら、ヒドイことするな。

と言いながらも、はや還暦間近。
あと、少し凌げはお迎えが来る。

なんとか、暇潰しを見つけて、すごしにくいこの国の片隅でその日その日をやり過ごすまでだ。

たまに、悪意もて京都を歩くのもまた楽しからん哉。